〜地球から脱出するまでの日々の記録〜

2016/02/04

美しい世界を見るには世界から離れなければならない


ある日、自分は綺麗な庭園にいた。
生い茂る多様な種類の植物、
その根を潤わせながら循環する透きとおった水。
正面には白くて立派な洋風の館。
誰が住んでいるんだろうと思うような、
とても神秘的な場所だった。
ただ、たまに街中で見かける庭園と少し違うのは、
この庭園は空に浮かんでいた。
円の形をした庭園の端に行き、
おそるおそる見下ろすと、
遥か先に、
自分がさきほどまでいたと思われる街が見える。
とても美しかった。
近くで見ているとそうは思わなかった。

美しい世界を見るには
世界から離れなければならない。


ある疑問が頭の中に浮かびあがってきた。
「なぜ、この庭園は空に浮かんでいるのだろう。」

庭園の真ん中に位置する白い館に入ることにした。
扉に手をかけたとき、
胸の中がざわっとした。
ためらいながらも扉を開けた。
そこは外とは真逆の別世界だった。
辺りは薄暗く、
じめっとした空気。
頑丈な牢獄が左右にずらりと並び、
青い包帯を巻かれた囚人たちがとらわれていた。
彼らは時折踊りだしたり、
大きな声で笑ったりしていた。
その姿は幼い子供みたいで、
不思議なくらいに明るかった。

奥に進むと、
大浴場のようなものがあった。
ぐつぐつと音をたて、
湯気がもうもうと上がっていた。
液体はあからさまな赤色、
骨がぷかぷか浮いていた。
先ほどいた囚人たちがそこへ飛び込んでいった。
あっと言う間に溶けていった。

いつのまにか、
黒い布を纏った老婆が隣にいた。
彼女に案内され、
地下へと続く階段を下りていった。
たどり着いたそこには、
綺麗な紫色をした球体が浮いていた。
ビー玉のような輝きを放っていて、
大きさはサッカーボールぐらい。
定期的に上から紫色の液体が流れこむ。
球体の輝きが増した。
「先ほどの大浴場の底とつながっている。」
老婆がぽつりと言った。
どうやらこの球体が、
庭園を空へと浮かび上がらせる動力源らしい。
青の罪、
赤の死。
混ざりあった紫の球体を、
長い時間、
眺めていた。
そして、
気付いた。

この庭園は、
自分そのものだった。


美しい世界を見るには、
世界から離れなければならない
世界から離れるには、
罪と死に向き合わなければならない



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この話の内容は、
『アインシュタイン・ファクター』
という本に書かれた、
「イメージストリーミング」を
自分が実践したときのもの。


"人は人生の半分を空想に費やしているので、この空想を積極的に、意図的に活用する人、活用するテクニックを身につけることのできた人が「天才」になる。"

”頭の中に浮かんだイメージを大きな声に出して説明するだけ”


うさんくさい!!

って最初読んでて思ったけど、
面白半分で試してみたら、よかった。
アートセラピーに近い感じかな。
自分が没頭して描いたものを
客観的な視点から眺めて気付きを得る。
その描くというところを
ショートカットしたような感じ。

イメージ浮かぶ→絵に描く→客観的に見る

イメージ浮かぶ→客観的に説明する

驚くぐらいに無意識に眠っていたものに気付けた。
たぶん(小さい頃から)自分は、
極度に空想する人間で、
この手法とは特に相性が良いのだと思う。

そして、
これは去年の秋頃に試していて、
今になって、
イメージの内容が形を変えて
現実となって現れてきた。

不思議。